すずわん日記

40代でサラリーマンの限界を感じました。これを良い経験として、この後の人生を楽しく豊かに過ごせるように考えたことを書いていきます。

英雄たちの選択と自分の選択

歴史には色々な判断がある

NHKのBSプレミアムで「英雄たちの選択」という番組があります。

この番組では、歴史上の人物がターニングポイントでどういう判断をしたかを、歴史学者の磯田道史さんと、ゲストの哲学者、経済学者、戦史学者などの著名人が、仮の選択を含めた二択、三択の中から選び、あーだこーだとなぜ選んだかを披露するトークをします。

当然、有名な話ばかりですので、出演者の面々はどういう結末になるかは知っているのですが、面白いのは、歴史通りの選択をする人もいれば、あえて逆の生き方を選ぶ人もいる事です。

先週は楠木正成をテーマにした選択でした。

主君の後醍醐天皇に敵対する足利尊氏を戦争で追い詰めた楠木正成が、あえて尊氏を逃すか?そのまま追撃をして討ってしまうか?という選択を考えます。

普通に考えれば、追撃して討っちゃえばいいじゃん、と考えますが、この選択には軍事だけではなく、多分に政治的な要素が入ります。

楠木正成の主君の後醍醐天皇の新しい政治のやり方では武士が納得しなくって、すでに全国の武士団の多くが武家の棟梁の一族である足利尊氏に心がなびいてしまっています。

ここで尊氏を討ったとしても、一度心の離れた武士団が後醍醐天皇に忠誠を誓うとは思えません。そうなると、結果として世の中は安定しません。

であるならば、足利尊氏を逃して和睦をして、後醍醐天皇側に、尊氏ごと武士団を取り込むのはどうか?というのが、番組が考えたifの選択肢です。

 

あえてifを自分で考えてみる

歴史にifはない、と言いますが、その通りです。でも歴史を勉強して、自分だったらどうするか?と歴史を題材にして考えてみるのは、自分で考えて何かを判断をする練習になるのではないかと考えます。

判断をするためには情報が必要で、その情報を得ることが歴史の勉強をする事になります。その上で、例えばリスクをとって立ち向かうのか?それとも逃げるのか?を考えてみます。

僕はなんかはナアナアな性格なので、とにかく無茶な争いは避ける、なんて選択をするでしょう。

あと臆病モノなので、例えば今回の楠木正成の回であれば、後々面倒くさくないように足利尊氏を討っちゃうかなぁ、とか。

それよりか、もーお金には困らないはずだから、悩むくらいなら出家しちゃって後は誰かヨロシク、なんて事も考えるかもしれません。

普段から、痛いのキライ、命は大事になんて考えているから、そういう逃げの発想になっちゃいますが、たまにはマジメにリスクを取る判断が出来るかどうかを、歴史の中からシミュレートしてみるのは面白いかもしれません。

 

言葉は史実を変えてしまう

史実では、楠木正成は結局のところ足利尊氏を逃します。

そして尊氏との和睦を後醍醐天皇に提言をしますが、後醍醐天皇と公家の連中にそっけなく却下をされて、湊川で足利尊氏の大軍勢と絶望的な戦いをし戦死してしまいます。

リアリストな楠木正成も、後醍醐天皇と公家のワガママに逆らえずに消えていった感はありますね。

そして七生報国。七回生まれ変わっても朝敵を討つ、と誓って、正成は弟の楠木正季と刺し違えて自害したと言われてます。

 

番組では最後にもう一つ。

この七生報国の言葉を、戦時中の軍部は悪い方向に利用して国民を戦場に送った、とあります。

そういえばそうだ。よく戦時中にあったスローガンで聞く七生報国は、正成の言葉と言われていましたね。

楠木正成と、日中戦争・太平洋戦争は、普段あまり僕の頭の中では結びついていませんでした。

言葉だけが間違った解釈で都合の良いように使われると、言葉を発した人の人生や考えかたも間違って歴史に記憶されてしまいます。

そして、歴史認識の間違いから、多数の不幸がうまれる事があります。

気をつけなくてはいけません。