枕をおさえる、とはどういうことか?
我が家のゆず(♀)は分離不安症です。
我々夫婦が出かけると一人でお留守番をする事になるのですが、これに耐えられない。
犬の分離不安とは
リビングで一人になった瞬間にワンワンと吠えます。これでは外出もままなりません。
外出ではなくとも、普段からじーっと観察されていて、僕がトイレに行く時、隣の部屋に行く時には立ちあがり、チョコチョコとついてきます。
独りぼっちが寂しい、かわいい子、と思っていて対処法を探していたのですが、この前トレーナーさんに厳しい指摘をうけました。
「主従関係が逆転しています。ゆずちゃんは、この家のリーダーだと思っているのです。ご主人が出かけると、外の世界は危ないよ!!!と警告し、ワンワン吠えているのです。ですので、まずはご夫婦がゆずちゃんのリーダーにならないといけません。
ショックでした。
分離不安を改善する
つまり、我々夫婦が群れのリーダーになれば留守番はできる、という結論。私と妻、そしてゆずの3人の群れのリーダーは、私と妻だということをを教えなくてはいけません。
そこでリーダーになるために、トレーナーさんに教えてもらったのはある掛け声。
犬社会でリーダー犬が、下々のメンバーにリーダーとしてふるまう時の声に似ていて、有効だとの事。
「〇△×~!」
と叫ぶのですが、まぁその掛け声もトレーナーさんの商売道具でしょうから、勝手に使うのは避けて、このブログ内では仮に、
「マッハ・パーンチ!!」
とします。
試してみます。
何も知らないゆずがちょこちょこと寄ってきて、いつも通りに僕に飛びつきを始めましたので、すかさず発声しました。
「マッハ・パーンチ!!」
・・・・効いています。
僕の声にびっくりしたゆずは飛び去って、部屋の隅でプルプル震えています。可哀そうかと思いましたが、これは一週間ほどで無くなります、との事。
僕もビックリ(・Д・)
この掛け声を、今抱えている問題が発生するタイミングで使います。
掛け声が効く理由
例えば、勝手に違う階に上がっていってしまう時、玄関のチャイムが鳴って吠える時など、素早いタイミングでゆずにこの声掛けをします。
そうすると徐々に「この人たちは、あたいのリーダーなのね」と、アバズレはアバズレなりに理解をしていき、主従関係を改善できるとの事です。
主従関係が改善できれば、我が家の第一次ゆず内閣は総辞職し「あたいは、この人たちの下でノンビリ暮らせるんだわ」となります。
ゆずはもう、群れを守る、という大変なリーダーの仕事はしなくてよいのです。
ちなみにこのトレーニングでは体罰は厳禁です。あくまでも声と威厳と態度で攻めます。TVで坂上忍さんがワンちゃんをしつけていましたが、原理は一緒かな。よくわからないですが。
さらに難しい試練
逆に難しいのはゆずを呼ぶ時。
「オイデ」としゃがんで、太ももをポンポンと叩きながら呼ぶのですが、一度リーダー(仮)に怒られたゆずはなかなか寄ってきません。
それでもしばらく続けると「オイデ」と呼んでポンポンした瞬間に、ムクリと起き上がり、尻尾をフリフリしながら寄ってきます。
しかし1mほど手前で止まり、伏せの体勢をとり、可愛い顔をしてこちらをじーっと見ています。
「もー。仕方がないなぁ。」
と、ニマニマしながら、ゆずの元に行こうとしましたが、ふとトレーナーさんの声が脳裏をよぎりました。 トレーナーさん曰く、
「男の子に比べて女の子はズルイです。オイデをしても、微妙な距離まで寄って来て止まります。最後は、お前が来い、という事です。簡単にリーダーを降りないのです。ここで大抵の飼い主さんは、ここまで来たんだから、とワンちゃんを迎えに行ってしまいます。」
ですって。ハニートラップです。
うぬぬ・・・。
まだなめられてます。であれば「オイデ」なんて動作を実現する前に、まずこちらのリーダー度合いをもっと上げなくてはいけません。
知略を駆使する
「オイデ」の後、尻尾をフリフリしながら、ゆっくりと微妙な位置まで来て座るゆずは、まるで藤井聡太クンの棋譜のようです。広瀬八段との対戦で使った奇手「4四桂」のように。捨て駒のようですが、これはワナに違いない。
そっちがその気ならば、こちらも「4四桂」を打つ動きが見えた瞬間、カウンターで「マッハ・パンチ」と叫ばなくては。
トレーナーさんからも、ワンちゃんには動き出した瞬間に大声を出して動きを止めるカウンターアタックが有効、とアドバイスを受けています。
また、宮本武蔵の兵法書「五輪書」の中で、枕をおさえる、という考え方が書かれています。
その意味は、相手の出鼻をくじくこと。寝ている相手が起き上がろうとした時、頭をおさえると起き上がれなくなるように、敵の動きを事前に察して、攻撃を事前に封じ込める。ゆずに対してやるのは、これです。
出鼻をくじいて、リーダーはお前サンの意図はわかってるんだゼ、という事をわからせます。
が、、、タイミングが難しく一度では成功しません。でも何度も何度も戦います。
「先手 4四桂」
「後手 マッハ・パンーチ!!」
「先手 4四桂」
「後手 マッハ・パンーチ!!」
「先手 4四桂」
「後手 マッハ・パンーチ!!」
「先手 4四桂」
「後手 マッハ・パンーチ!!」
今年46歳、人生に疲れたの中年の男と、生後7か月の女の子の知能戦は続きます。
脳の容量レベルでは、人間は1350g~1500g、犬は平均64g。
20倍以上。負けるわけがない。
でもここで気づきました。
「マッハ・パンーチ!!」
じゃなくって、
「マッハ・パーンチ!!」
じゃない?(・Д・)?
むっ。その時、ゆずが立ち上がった姿が視界に入りました。その隙を逃さず、
「先手 4、、・・」
「フラッシュ・ピストン・マッハ・パンーチ!!」
・・・・勝った。おしまい。
なんだこれ。
※文中のマッハ・パンチ、フラッシュピストン・マッハ・パンチについての詳細は、以下の書籍で確認ください。でも本記事とは何の関係もありません。