すずわん日記

40代でサラリーマンの限界を感じました。これを良い経験として、この後の人生を楽しく豊かに過ごせるように考えたことを書いていきます。

クルマ業界の革命、MaaS革命について考えてみた

以前、物理的なモノを手に入れるために使った時間が懐かしいな、なんてブログを書きました。

ところが、もはや自動車メーカーですら、物理的なモノ売りからサービス売りに体質変化をしようとしています。

 

MaaS革命とは

MaaSは 「Mobility as a Service」の略です。意味はモビリティーのサービス化、ですね。

上記のNHKの番組の中で紹介されていたのは、スマホからクルマを予約してキーを解錠して運転し、用事が終わったら市内のどこにでも乗り捨てが出来るサービスでした。

BMWが数年前から提供をしているサービスで、ミュンヘン中心部だけでも700台のクルマを用意しているとの事。便利なので頻繁に利用している市民もいるようです。

面白いのは、世の中がそうなってしまうと車が売れなくなり、ダメージを受ける自動車メーカーが、自らサービスを作っていっている事です。

彼らを動かしているのは危機感なんですね。

そういうサービスはいずれ誰かが始める。その事により自動車メーカーが深刻なダメージを受ける事を黙って享受するのではなく、自らサービスを作って先に走る、という考えです。

仮に、大昔に体が大きく地上で繁栄を謳歌していた強竜達が、巨大隕石の衝突による全滅を察知して、衝撃波から避けられるように体を小さくして地中に潜る能力を身につけたり、氷河期を乗り切るために哺乳類に変化をするようなものでしょうか。すごい変化です。

 

トヨタも相当の覚悟でMaaSをやる事を宣言していますし、

 「私のゴールは、トヨタを車の会社からモビリティー(移動手段)の会社に変えることだ」。2018年1月上旬。トヨタ自動車の豊田章男社長は米家電・IT見本市「CES」の場でこう語り、トヨタを単なる自動車の製造・販売会社から車を使ったサービス「MaaS」を手がける企業に転換させると宣言した。以来、トヨタは決算発表の場や労使協議会、入社式に至るまで豊田社長の発言を引用し、自己を変革する姿勢を社内外に訴えかけている。

 

メルセデスもCASEを提唱して、100年に一度の大変革期、とやる気マンマンです。

それがメルセデス・ベンツを擁するダイムラーが発表した中長期戦略「CASE(ケース)」である。4つのキーワードの頭文字からなるコンセプトで、それぞれ外部・相互接続性を高める「Connected」、自律走行の実現を目指す「Autonomous」、カーシェアリングなど多様なニーズに対応するための「Shared & Services」、そして電気自動車(EV)の「Electric」を意味する。

 

ちょっと考えてみれば、音楽なんかもつい最近まではCDというモノを売る商売でしたが、ネットでダウンロードをして聴くというサービスにあっという間に変わってしまいました。

クルマの変革も、自動車メーカーが本気を出しているので、今後はもの凄いスピードで社会が変わっていくのではないでしょうか。

 

先を読んでサービスを作る

リンク先のNHKの番組では、所有する事から使う事へのシフトをメインとしたカーシェリング的な内容でした。

しかし、MaaS革命の先にあるのは単なるカーシェリングのサービスを飛び越えて、タクシーやバス、レンタカー、電車をITで統合して、スマホで経路検索、予約、利用、料金の支払いまでを全て済ませてしまう構想のようです。

さらにトヨタは自動運転車両で、でっかい箱型のクルマを用意して、移動式のホテル、ショップ、飲食店を実現しようとしたり、物流への自動運転の適用も考えています。

そこに、すでに実用化が進んでいるドローンビックデータAI機械学習などが融合するんでしょうけど、どんな世の中になるんでしょう?

 

MaaS革命を想像してみる

202X年。横浜から都内への通勤シーンを想像してみます。

現在の移動手段は、インターネットでバスの時刻を調べてバス停に行き、最寄りの駅に到着します。電車は満員電車なので30分ほどつり革につかまっての通勤です。

そして仕事が終わり、夜は旧友のA君と久しぶりに会い、夜中まで昔話に花が咲き、時間を忘れてお酒を呑みます。終電を調べたらもうギリギリだったのでフラフラになりながら駅まで走り、その上2駅も寝過ごしてしまい結局はタクシーで自宅に帰ってきます。

そして嫁さんにこっぴどく怒られる。

 

でも202X年は違います。

通勤の為のカーシェリングが、半年分予約済みです。まずは朝、家を出ると数メートル先のカースペースに自動運転のEVカーが停まっています。スマホでキーを空けて乗り込み、コンソールにスマホをかざして予め登録してある会社の住所をセット。EVカーは自動で向かい走り出します。

都内でも、道路は交通情報がGPSとAIで完全にコントロールされ、渋滞や事故は起きません。

移動中はゆっくりシートに座って音楽を聴きながらサービスに含まれる無料のコーヒーを飲み、スマホでニュースをチェックします。

そして会社の目の前のカースペースまで自動で到着し、お仕事開始。

夜は旧友に久しぶりに会ってシコタマお酒を呑みますが、帰りのEVカーは事前に予約済みです。

そして帰りを指定した時間に、居酒屋から最寄りのカースペースまでEVカーがやってきて、スマホのアラームを鳴らすので、適度な時間に宴はお開きにして帰宅します。

ちょっとお酒を飲み過ぎたので、クルマのシートでウトウトしながら帰りますが、家の前に着いたらクルマが起こしてくれます。

ちゃんと帰ってきたので、嫁さんには「Aさんは元気だったー?」なんて上機嫌で聞かれたりして、フーフ円満。

よかったよかった。

 

こんな事になれば、通勤の時間も有効に使えて満員電車は無くなるだろうし、自動運転だから高齢者の方の事故も減るでしょうし、田舎だと自動運転のクルマが簡単にレンタル出来れば、必要だからと言って安くはないクルマをわざわざ保持して、維持費がかさむこともないし。

なかなかシンプルでローコストで安全な世の中になりそうです。

 

MaaS革命の達成に足りないものを考えてみる

まずは自動運転のための法整備は必要で、これが一番時間がかかるんじゃないかって思います。

あとは、自動運転に適した道路にしたり、冒頭のBMWのサービスのように乗り捨てオッケーにする為には、道路全体のインフラ整備が必要ですね。

また、コンサート会場だとか人が極端に集中する場所にはクルマが集中する事は避けなくちゃいけませんので、その対策も必要。

乗り捨てた後、EVカーを自動で充電する仕組みも必要でしょうし、カーシェリングと交通情報をインターネットで繋いだら、データ量も増えるかもなので通信網の強化も必要かな。

また、物流を自動化するとしたら、受け取り側も自動化したいので、自宅とか最寄りのコンビニなどには新しく専用のポストが設置されて、自動で停まったトラックからドローンボストン・ダイナミクス社のロボットが出てきて、その中にポイっと荷物が自動で入れられてスマホに納品通知が来るようにするとか。

そうなると、自動車メーカーだけではなく、政府、地方自治体、IT企業や通信プロバイダ、公共交通機関を運営する会社、物流会社などが一体となって動く革命ですね。

こうやってツラツラと書いていくと、もはや技術的には実現不可能ではないような気がします。

 

・・・とは言っても、やっぱり自分でお気に入りのクルマは所有して、そのクルマでロングドライブに出かけたり、ピカピカに洗い上げてニマニマと笑って車を眺めたい。