脳梗塞で入院中、ココロが穏やかになった事
脳梗塞後、3年が経過しました
脳梗塞で倒れた日から、今日でちょうど3年になりました。発症の原因は未だに不明です。
当時も仕事が忙しく、遅くまで残業をしたり、休日出勤もしていました。さらには新しいサービスの立ち上げを一人でやっていて、四六時中、仕事の事は頭から離れなかったのを覚えています。
何もしなくていい事にホッとする入院
3年前の今日、救急車で運び込まれた病院でMRIの撮影をして、脳梗塞と診断され即入院となりました。
その場で血栓を溶かす薬と、コレステロールを下げる薬を両腕から点滴で投与されて、病室へ運び込まれました。絶対安静です。
当日は後遺症や頭痛が怖くてアレコレ考えていたのですが、一晩明けた翌日の昼間には、病室のベッドを少し起こして、一人病室の窓から見慣れない外の景色をボーッと見つめる余裕が出てきました。
ちょうど季節も梅雨前の、今と同じ穏やかな気候の風景で、緑が元気にキラキラと光っていました。会社での緊迫感がウソのようです。
その時、急に心の中に、
「ああ、もう何もしなくて良いんだ」
と、おそらく今までの人生の中で一番安堵をした、気持ちの良い感覚がブワッ!と大量に流れ込んできました。
危険な病だったのに、安堵するなんて不思議な感覚ですが、おそらく入院をした事により、しばらくは会社と関わらなくて良くなる事に対して、悦びを感じたのでしょう。
あれもやらなくて良い、これもやらなくて良い、という解放感が頭の中を満たしていきました。
しかしその反面、妻にとっては夫が初めて倒れてしまい、その原因は命に関わる脳疾患、という怖い経験です。
僕がフラフラとぶっ倒れる光景を目の当たりにしたのだから、今この瞬間もおそらく半泣きになっていて、そしてどれだけ不安になっているかと思うと、勝手に人生最大の安堵感を感じた事に、逆に罪悪感を持ったりもしました。
おじいさんも頑張れ。僕も頑張る
ふと、開け放しの病室のドアを見ると、廊下の手すりに捕まってじーっと立っているおじいさんがいました。
その後ろには30代くらいの男性が付き添っています。看護士のユニフォームを着ているのでリハビリをするトレーナーさんらしいです。
でも、おじいさんは手すりにつかまったまま、なかなか動きません。足が悪そうです。
トレーナーさん「足が痛いのかなー?」
おじいさん「・・・」(うなずく)
トレーナーさん「歩かないと、治らないよー」
おじいさん「・・・」
トレーナーさん「じゃあさ、教えて。もう死んじゃう〜!っていうくらいの痛さが10としたら、今はどれくらいの痛さかな?」
おじいさん「9!」
9?
9?!(・Д・)
9って。。アナタ、レッドゾーンじゃん?
おじいさん、そうだよね、病院イヤなんだよね。もう家族のいる家に帰りたいよね。
でも頑張って歩いて健康にならなきゃね。
僕だってそうだ。頑張ろう。
可哀想と思いながらも、おじいさんのチャーミングな暴走っぷりにちょっとホッコリして、ココロが穏やかになった入院の思い出でした。
後で見舞いに来た妻にこの話をしたら、明るく笑ってくれました。